相談スキル・まとめ 2025年年末編

相談スキル・まとめ 2025年年末編

※元新聞記者/臨床心理士/社会保険労務士としての立場から、年金事務所や自治体、相談窓口に立つ方に向けての記事です。

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障害年金報道のあと、相談窓口で何が起きるのか
最近の報道で、日本年金機構の対応をめぐるニュースが出ました。
内容そのものの是非とは別に、現場の相談窓口に立つ人が攻撃されやすくなるという現象が、これから起こる可能性があります。

実際、社労士として年金事務所の相談員をしている方は多く、今回の報道をきっかけに、
• 怒り
• 不信
• 不安
• 絶望感
を一身に浴びる立場になりやすいと感じます。

ここで大切なのは、
「正しい説明をすること」より先に、「火に油を注がないこと」です。

以下は、相談にあたる際の実務的なポイントをまとめたものです。
自分を守るためのメモとして参考にされてください。

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① 応答は必ず「はい」
相づちは「はい」の一択です。
• 「うん」→ 上から目線・適当に流している印象を与えやすい
• 笑い → 嘲笑・軽視と受け取られるリスクが高い
怒っている相談者にとって「はい」は、
• 話を遮らないという合図
• 理解しようとしている姿勢
• 次に進んでよいという許可
この3つを同時に満たす、最も安全な応答です。
相談者が笑っていても、つられて笑わない。
これは自衛です。
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② 「しかし」は使わない
「しかし」「でも」は、否定語です。
内容ではなく、
人格を否定されたと受け取られることが少なくありません。
代わりに使える言葉は、
• 「ええ、そして」
• 「一方で」
• 「そうですね。その上で」
• 「今のお話を踏まえて、制度の整理をしますね」
ポイントは、論点を切り替える予告を言葉にすること。
黙って切り替えると、相手は「遮られた」「ねじ伏せられた」と感じます。
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③ 共感は「気持ち」まで
使ってよいのは、
「お気持ち、わかります」
までです。
賛同するのは「感情」だけ。
• どう感じるか → 誰にも否定できない
• 事柄・制度への賛同 → 絶対にしない
同調(事実や評価への賛同)は禁忌です。

また、
「気持ち“は”わかります」
この言い方は避けてください。

怒っている人ほど「は」に敏感で、
• 逃げている
• 馬鹿にしている
と受け取られやすい表現です。
共感のあとには、
• 「制度の話は別として」
• 「感情と制度は分けて説明しますね」
と境界線を言語化すると、安全です。
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④ 怒りのピークは30分
怒りのエネルギーは強烈ですが、持続時間は意外と短い。

目安は30分です。
注意点はひとつ。
• 途中で遮らない
• 「でもですね!」と割り込まない
• 正論を言いたくなっても我慢
途中で棹を入れると、
怒りがリセットされ、また30分になります。

「長引いた」のではなく、
「リセットされた」だけ。
これは相談員の責任ではありません。
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⑤ ニュースは見すぎない/生活リズムを整える
年末は特に危険です。
• 障害年金がもらえないという報道
• 年末の炊き出し・困窮報道
これがセットで届くと、怒りと絶望が一気に相談窓口に流れ込みます。

必要な情報だけ拾ったら、あとは遮断してください。
• 早寝早起き
• 食事
• 生活リズム
これは甘えではなく、業務スキルです。
自律神経が整っていない状態で、怒りの矢面に立つのは無理があります。
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⑥ 最後に:あなたが悪いわけではない

相談者の怒りは、
• 制度
• 組織
• 社会
に向けられたものです。

それが、
• 名札
• 窓口
• 目の前の相談員
に投げられているだけです。

個人の責任ではありません。どうか、
「自分を守ること」を最優先にしてください。
それは、結果的に相談者を守ることにもつながります。
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※現場で対応されているすべての方へ。
一人で抱え込まないでください。

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